2021/11/01
アフターコロナにおける経済情勢を考える
コロナ禍の中、みなさんはどんな毎日をお過ごしでしょうか?
ワクチン普及の遅れ、変異株の登場など、まだまだ長期化しそうな新型コロナ問題ですが、気になるのは世間で徐々に表面化してきたコロナ不況など、今後の情勢がどうなっていくのかではないでしょうか?
そこで今回はアフターコロナにおける経済情勢について考えてみました。
徐々にコロナ不況が表面化してきた!?
緊急事態宣言による自粛要請が原因で、飲食店界隈ではそろそろ限界に近づいている企業も増えているようです。昨年末の東京商工リサーチによると「約3割の飲食店が廃業を検討する可能性がある」とのこと。
(飲食店の32%が廃業を検討か)
場所によってはテナントビルの空きが目立つところもあり、徐々にコロナ不況が表面化してきているのかなと心配する最近の状況です。
(銀座の不動産に忍び寄るコロナ不況の足音)
もちろん今後のワクチン接種の拡大に伴い、人々の消費マインドの向上も見込めますが、このままの状況でテナントの空きが増えてきた場合どのようなことが起きるでしょうか?
過去のバブル経済崩壊を参考にこんな事態が考えられます。
飲食店などの閉店→空きテナントの増加→不動産価値の減少、不良債権化→担保与信力の低下→金融の硬直化→更なる不動産価値の減少→段階的な連鎖不況へ
90年代に起きたバブル経済破綻時では、建設業界では地価下落に伴う不良資産の増加という時限爆弾を抱えながら、表面上は順調な状態が数年にわたって続きました。その後、95年の阪神・淡路大震災を境に一気に景気は傾き、その後30年間はジェットコースターのような浮き沈みを迎えていくことになります。
果たして今後アフターコロナにおいても、同じような不況が訪れるのでしょうか?
影響は少ないか?アフターコロナの不動産情勢
出口戦略のはっきりしないコロナ禍の影響により、不動産業界全体が長期的に低迷してしまうような印象もありますが、実は「不動産業界において新型コロナウイルスの影響は一時的で限定的」という声も少なからずあるようです。
例えば…
・資材や人材の調達不足で新築の竣工が遅れていることにより、空きテナントへの賃貸需要が増えるなど、不動産業界全体でバランスが取れるのではという見方
・取引期間が長期に及ぶ不動産売買では、コロナ終息を見越して動く顧客がいる など…
確かに苦境に立たされる業界がある中、コロナ禍新時代に沿った事業を展開することで業績を伸ばしている企業も見受けられます。
(コロナ不況で急増するテナント需要)
またSDGsへの取り組みや、DX投資などの新時代に合わせた事業展開は、従来型の不動産を基盤とした経済活動とは一線を隔てた取り組みであるようにも思えます。
(DX投資を増やすか減らすか?新型コロナの影響を業種別に分析)
立役者はどこに?アフターコロナの景気情勢
抑圧されてきた消費マインドの解放、不動産情勢に直接影響されない事業展開など、必ずしもコロナ禍による影響が不況に繋がるとは限らないという考えを述べてきました。
それよりも実は、コロナ不況の前に起きていた消費税増税による財布事情の悪化や、経済成長の硬直化に伴う日本企業の弱体化の方が、コロナ禍に比べ経済への影響が大きいと言えるのではないでしょうか?
ほかにもオリンピック終了後の内需の不透明さや、米中の経済衝突の方が心配なのは、確固たる経済基盤を保たず米国景気によって簡単に上下してしまう日経株価が示す通りと思えます。
アフターコロナにおける経済情勢については、各企業の自助努力に頼るという方向性だけではなく、日本の景気を支える新しい立役者が不在であることが、実は重大な問題なのではと思うのです。
建設業界にまつわる仕事をしている私たちにできることとしては、生産性を高め柔軟な業務対応が取れる高度に洗練したオフィス環境など、新しい時代の価値提供ができる建物を創造していくことが大切なのかなと思っています。
戦後の高度経済成長期に作られたインフラが今後一気に老朽化していく中、再開発事業など夢のある次世代の建物を創造することで、日本経済を底支えする立役者の一端を担えるようにと、そんなことを願って今後も努力していきたいと思うのです。
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