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2022/11/11

CGパースやアニメーションで周辺モデルってどうしてる?


建築ビジュアライゼーションに携わるCGクリエイターの皆さんは、広域の鳥瞰CGパースやCGアニメーションを制作する時、周辺の3Dモデルをどうしていますか?
平面地図データやGoogleのストリートビューなどを見ながら3D化はとても大変ですよね。そこで今回は3D都市データを販売または無料で提供しているサイトと実際に使ってみた感触を紹介いたします。

紹介サイト
・ゼンリン3D地図データ:有料
・PLATEAU (プラトー):無料
・MAPCUBE:有料
・OpenStreetMap:無料 ※利用規約に従った利用が求められる

ゼンリン3D地図データ:有料


ゼンリンの詳細地図情報と専用車両で計測したデータにより、現実の街を忠実に3Dモデル化されています。各種センサーや全方位カメラを搭載した専用車両により、建物の形状や質感、道路の交通標識や路面ペイントまで収集され、さらにそれぞれの距離や位置情報を走行撮影により収集し、細部まで忠実に現実を再現されています。

データの特徴

  • テクスチャが付ついている ←ありがたい!!
  • 道路の路面ペイントも忠実に再現している ←消したいときもある…
  • 高架等の立体表現あり
  • 対象エリアは国内21都市(東京23区・大阪市内全域、横浜市、名古屋市、神戸市、などなど)
  • 年1回データ更新

モデルデータは大きく分けて3種類があり用途によって使い分けが可能

  • リアルモデル:現地撮影した画像データを基に生成した歩行者目線でも利用できるデータ
  • ライトモデル:建物形状と階数情報を基に生成した3Dモデルに疑似テクスチャを貼りつけたデータ
  • 広域3次元モデルデータ:5km四方の3Dモデルデータ。テクスチャは無し。

実際に使用した感想

テクスチャ無しの広い範囲の広域3次元モデルデータや疑似テクスチャがついた少し範囲の狭いライトモデルを購入して、使用することもあり、用途や予算で使い分けています。
クオリティーを求められる鳥瞰では、計画建物の近隣は少しディティールを加えた簡易モデルを作成し、遠くはそのまま使用したりしています。
リアルモデルを購入したことがないので分かりませんが、これまで購入した2種のモデルに関しては地形の高低差についてそれほど精度は高くはないのかなと感じています。
ディティール的にはもう少し欲しいところですが、広範囲のモデルが必要となる案件などではとても助かっています。

活用例

  • 建築設計(都市計画)
  • 自動車開発(カーナビ、自動運転など)
  • 研究・開発(浸水/避難シミュレーション、交通流シミュレーション)
  • 映像、ゲーム制作

(出典)公式サイト
https://www.zenrin.co.jp/index.html

PLATEAU(プラトー):無料、オープンデータ


PLATEAUは2020年度から始まった国道交通省のプロジェクトで、日本全国の3D都市モデルデータを整備しオープンデータとして流通させ、さらにデータを使って政策に反映させたり民間市場のサービス・プロダクトにつなげたりと、データの作成と利用の両輪で進めているプロジェクトです。

データの特徴

  • オープンデータで誰でも利用可能 ←ありがたい!!
  • テクスチャ付き ←これもありがたい!!
  • 高架等の立体表現
  • 対象エリアは国内57都市(東京23区含む)

都市モデルの詳細度に応じて4つのレベルLOD(Level of Details)に分類

  • LOD1:建物の2D形状に高さ情報をかけ合わせたシンブルな箱モデル
  • LOD2:LOD1に屋根形状を追加したもの
  • LOD3:建物の窓やドア等の開口部を追加したもの
  • LOD4:建物内部までBIM/CIM等でモデル化したもの

実際に使用した感想

最近はこのPLATEAUのサイトを先に見ることが多いです。何といっても無料ですからね。しかも国策ですし。都内ではLOD2モデルもあり、テクスチャも付いているのですが、若干の生々しさもあり、利用するときは少し工夫をして活用しています。しかしPLATEAUデータは地形、トラフィック関連、建物とデータ分かれているのがとても便利で、また建物の精度は高いと感じていて建物データのみを使用することが多いですね。

活用例

  • 都市活動モニタリング(データを使い都市の未来をシミュレート)
  • 防災(災害リスクを可視化)
  • まちづくり(都市開発)

(出典)公式サイト
https://www.mlit.go.jp/plateau/

MAPCUBE:有料


MAPCUBEとは、航空測量で計測した高さ情報、二次元のベクトル地図情報と航空写真画像データをもとに生成した地形や建築構造物の3次元都市モデルデータです。

データの特徴

  • テクスチャ付き ←ありがたい!!
  • 道路の路面ペイントも忠実に再現している
  • 高架等の立体表現
  • 対象エリアは東京23区、13政令指定都市
  • 空撮映像としての利用も可能なハイクオリティーの「REAL 3DMAP」シリーズがあります

基本データは3種類に分類

  1. 起伏のある航空写真地盤モデル
  2. 精確な高さと屋上塔屋の形状も表現した建物モデル
  3. 詳細な形状や色味に至るまで外観を忠実に再現したランドマークモデル

※1度モデルを購入したらずっと使い続けられるということはありません。使用契約をしっかり確認し、プランに合った契約をする必要がありますので注意してください。

実際に使用した感想

実は、MAPCUBEはこれまで利用したことがなく…何かの機会に使ってみたいです。

活用例

  • 都市計画、景観設計、眺望シミュレーション
  • 都市防災、電波解析、地理情報システム(GIS)への援用
  • 映像素材

(出典)公式サイト
https://www.cadcenter.co.jp/products/archives/4

OpenStreetMap:無料

※利用規約に従った利用が求められる


OpenStreetMapは、誰でも自由に地図を使えるように皆でオープンデータの地理情報を作るプロジェクトで、道路、通路、カフェ、鉄道駅など、世界中にあるすべてのものに関するデータを提供・メンテナンスをしているマッパーのコミュニティによって構築されました。このプロジェクトには、誰でも自由に参加し、誰でも自由に地図を編集して、誰でも自由に地図を利用することが出来ます。

データの特徴

  • オープンデータでOpenStreetMapと協力者の著作権を表示すれば、無料で利用することができます
  • 建物形状はシンプルモデル
  • テクスチャは無し
  • 例えば、Limionというソフトウェアで場所の指定を行うと、こんな感じに

実際に使用した感想

OpenStreetMapはプロジェクトでLumionを使用するときに利用することがあります。
建物のBOXを選択して、非表示にすることもできるので便利なのですが、高さの精度はゼンリン3DやPLATEAUと比べると劣ってる印象で、使用する際にはそのあたりに少し気を使っています。

UnityやUnrealEngine、BlenderでもOpenStreetMapが利用できますが、3dsmaxユーザーとしては、3dsmaxでも利用できるようになるとうれしいです。…と思っていろいろネット検索していたらスクリプトがありました。但し、8年前のものでバージョンも更新されておらず、情報も広がっていないようなので一旦トライアル版を試してみて、有益な情報があれば別の機会に改めて紹介したいと思います。

活用例

  • 災害対策、バリアフリー検討
  • 人間行動と環境解析
  • ポケモンGOやInstagram
  • Teslaのカーナビ地図データ

(出典)公式サイト
https://www.openstreetmap.org/#map=6/36.642/137.021

最後に

今回は、広域の鳥瞰CGパースやアニメーションを作成するときに必要になる周辺3Dモデルについて販売または無料提供しているサイトを紹介いたしました。
防災や情報システムなど多くのシミュレーションにも使用されている都市データは建築ビジュアライゼーションの携わるCGクリエイターにとっても大変ありがたく、限られた期間内で制作しなければならない実業務では計画建物の3D化だけでも大変なことも多く、このような周辺3D都市データがあると助かります。データが重くデータ整理が大変な部分もありますが、平面地図から3D化するよりはずっと早いですね。
私たちは広域の鳥瞰CGパースやCGアニメーションを数多く制作しておりますが、情報開示の問題でなかなかホームページでの紹介は難しいこともあり、今回紹介した3D都市データを実際に使ったアクア、オリジナル作品の制作を進めています。完成時には制作過程を含めた内容をまとめて紹介する予定ですのでお楽しみに!

CGパース、アニメーションに関するお問い合わせは こちら↓までお気軽にお問合せください!!
岡田:東京オフィス(本社)(okada@aqua-c-lab.com/080-4582-7616)
横井:名古屋オフィス(yokoi@aqua-c-lab.com/070-1494-6059)

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